釣り好き食いしん坊が島に移住する話

関東で暮らしていた飲食業のおっさんが40歳でとある島に移住して地域のために頑張ってみるお話

小さな島の片隅に

ゆむしです


周防大島諸島のひとつ
「浮島」
「うかしま」と読みます

浮島は人口およそ200人の小さな島

周防大島の名産品「いりこ」の原料となる
カタクチイワシの多くは
夏場に浮島のイワシ網漁船で獲ったもの

冬場は小型底引き網漁で
アカガイ等を獲っています


漁業で栄えたこの島の
海岸線に伸びる軽トラがギリギリ通れる程度の細道
その行き止まりに墓地があります

並んだ墓石の中のひとつに…


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「魚族」と記された墓石があります

これは
この島の住民が生きていくために
獲らせて頂いた魚介類の魂を
供養するための墓石なんです


昨日は、漁師さんが集まり
お寺さんを呼んで
お経を上げてもらい
供養の式典が行われました


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地域の新聞や広報にも載らない
小さな式典です

物理的な生命も
経済的な生命も
海に預けて仕事をする
漁師さんが
海に気持ちを伝える場所

漁師仲間の生命を奪ってきた海
島の人々の生命を支えてくれている海

自然を畏れ、敬い、感謝して
漁師さんは今日もまた
「板子一枚下は地獄」の職場へと
出ていきます



新型コロナウィルスの影響は
この島にもダメージを与えています
主に飲食店で取り扱われる魚種の
売値が大暴落しています

それでも漁師さんは笑っています
不安や不満は当然我々と同じように
持っているはずです
それでも行政の責任を追及したり
誰かを悪者にして責めたり
そういう雰囲気は感じませんでした

「今は何もできんよ」
「時がきたらまたみんなでがんばるだけよ」

そう言って笑う漁師さんが
頼もしく見えるのは

自然というコントロールの効かない力を相手に
ずっと仕事をしてきたからなのでしょう


人間を相手に仕事をしてきた我々は
相手をコントロールする技術を磨いて来ました
それだけに
コントロールできない相手に対峙した時
強いストレスを感じます
そのストレスを逃がすために
他責にしたり
敵をつくって叩くこともあります


一般的なイメージでいうと漁師さんは
「ケンカっ早い」
「コミュニケーションが苦手」
…といった感じでしょうか

しかし今この世界規模の危機の中で
「ケンカっ早い」
「コミュニケーションが苦手」
は、むしろ我々の方かもしれません

自分が不安だから、不満だから
その原因をつくっている(ように見える)ものを
自分の「正義」をかざして攻撃する
他国を、他県を、他人を

自分自身
家族
知人友人
市町村
都道府県
国家
地球

どこの境界線で
「正義のバリアー」を張りますか?

自分が決めた境界線の内側の人は
今後自分が困った時に
きっと手を差し伸べてくれるでしょう


漁師さんと一緒に
海に祈りを捧げることで
少し穏やかな気持ちになれた
ゆむしでした


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